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菊地夏野のブログ。こけしネコ。


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カテゴリ:小説( 3 )

絲山秋子『夢も見ずに眠った。』

 ずっと読んでいる作家、絲山さんの新作を読んだ。少し前に読んだ『離陸』は不思議な作風で、重さの残る読後感だった。それに比べるとこちらは不思議さもなく、軽く、でも絲山らしい鋭さをたたえていて、一気に読んだ。2作とも、読んだ後になんともいえない感動がある。読んだことで自分の中の何かが形になった感覚がある。こういう本はそんなに多くない。

 『夢も見ずに眠った。』は、「夫婦の物語」とされているが、それは少し間違っているだろう。この作品はあくまで名前を持った個人と個人の物語であり、人との関係性を「夫婦」という典型的な枠組みに回収することに抵抗するために書かれたと言っていいくらいだ。
 そもそも高之と沙和子は「婿養子」という世間からは色々言われる形で結婚した。高之はそういう世間には距離を置いている。沙和子は実の母親との関係性にしんどさを感じている。仕事を頑張っている沙和子は北海道に転勤になり、単身赴任生活になる。自分のペースを守って生きている高之は仕事も不安定で、新しい仕事についた途端鬱病でやめざるを得なくなる。休職という選択肢がなかったのは非正規の仕事だったから。
 このあたりの男女のジェンダーの逆転が面白い。ふたりはわたしとだいたい同世代で、なんとなく気分的に共感してしまう。大学入試も激しく、バブルの後で、就職も氷河期、女性も総合職になりだした時代だけど決して平等ではない。じっさい、沙和子は高之と別れた後、「不倫」をして罰されるように仕事を失う。「不倫」相手の男性は何も失わない。私たちの世代は、価値観としては90年代の自由な空気の中で自己形成したのでそれぞれの自由を尊重しようという気分があるけれど、世の中自体は決してそれほど自由にはなっていない。

 二人は様々な場所に住み、旅もして、それぞれの場所と絡む様が描かれる。どこの場所に行っても、そのときのそこにしかない固有性を繰り出すように言葉が紡がれる。

 ラストシーンで、ふたりは並走するが、おそらくひとりの男性と女性が今の日本で、最大限誠実に、お互いを尊重して関わるためには、これくらいの距離感が必要なのではないかと私は思った。「夫婦」として暮らしていても、それはお互いの信頼関係も、愛情関係も保証はしない。むしろそういう枠組みが関係性を蝕むこともあるだろう。ふたりがどういう関係性に変わったのか、作者は明示はしていない。だが少なくとも、お互いがとても大事な存在であり、何らかの形で関わり続けていくという意思を共有できていることを確認はしたのだと思う。
 それが、そういうひとがいると思えることが誰にとっても一番大事なことだから。





by anti-phallus | 2019-05-06 19:59 | 小説 | Comments(0)

新井素子

 ブルックナーの後は新井素子を読んでいました。久々の新作が出たというので、アマゾンのブックレビューで見たら賛否両論ではあったけどやっぱり読みたかったから購入。『もいちどあなたにあいたいな』。
 新井素子といえば中学生くらいの時にはまりました。とにかく面白かったな~。氷室冴子といっしょに読んでた。
 あの文体には影響受けました。またあの構成、SFなんだけど登場人物の心理がすごくよく分って、せつなくなる世界。
 高校生になったら小説を読む精神的余裕がなくなって、漫画に行ったんです。大学に入ったらもっと難しいものを読みたい、読まなきゃという気持ちもあったし、そもそも新井素子の本も出なくなって、縁がなくなっていった。
 で、最新作・・・正直恐る恐る読みました。面白くなかったら悲しいなと思いながら。でも面白かった。昔と変わっていなかった。よかった~。
 そして、前は気づかなかったけど、このひとフェミですね。読んだ人には分ると思いますが、ジェンダー社会への怒りが満ちあふれてました、部分的に。行政や下手な研究者のワークライフバランス論よりずっと説得力あります。
 確かに物語は破綻しているというか、すごいなこれ、というところはあるんだけど、それを超えて何かの説得力があります。説得力というのがこの作家の力かもしれない。なんだか常識を超えていて、オリジナルで、不思議なジャンル分け不能な世界なんだけど、妙に説得されてしまう。口語であっさり書いているように見えるけど、実はこの文章、かなり念入りに書き込まれてるんですよね。


 というわけで今は『チグリスとユーフラテス』を読んでます。これ、出たの知らなかったんです。まだ途中ですが、いやーこれはすごいです。フェミニストSFって呼んじゃダメなんかな??小谷真理さんとか何か論じてるんだろうか。
 最近の嬉しい発見です。
by anti-phallus | 2010-03-27 00:15 | 小説 | Comments(0)

アニータ・ブルックナー

 最近読んでいたのがアニータ・ブルクナーというひとの小説。イギリスの作家です。
 面白い小説が最近ないなーと思って、アマゾンで女性作家をさがして、フェミ作家とどこかに書いてあったので読んでみました。
 5冊読んでみました。最初は何か良く分らないなーという感じで、でもつい引き込まれていきました。作品によって雰囲気が少しずつ違いますが、一本通っている筋は、イギリスで色んな生き方をしている女性たちの、自分や、周りの人々や、季節や、街への移り変わる思い。
 このひとの世界に特徴的なのは、普通に家庭を作って、子どもを育てて夫に尽くす女性の生き方に強い憧れを抱いていること。そこのところはなぜそんなに?と不思議な感じを持ちつつ読んでいましたが、だんだん作品が後のほうになると、そういう「普通の」女性の生き方のなかにある喜びとともにわずかな空虚さ、無力感が出てきて、またそうでないシングルの女性の生活の自由さがあふれるばかりに描かれている部分が出てきます。
 それらを通して、どのような生き方を選んでも避けられない孤独や死、生きる喜びのようなものが作品全体から立ち上るようで、通読すると自分の世界も少し違って感じ取られるようです。
 訳文もプロらしい流麗な文体で、ブルックナーの独特の感覚的でありかつ論理的な言葉使いを表現しています。といってもわたしは原文を読んでないので分りませんが。
 ただ訳者あとがきは、作品の解釈がどこかちょっとずれてない??という印象は受けました。

 ともあれ江國香織や川上弘美にものたりなくなったひとには是非お勧めです。とくに『秋のホテル』『嘘』はいいです。
by anti-phallus | 2010-03-06 22:19 | 小説 | Comments(0)