菊地夏野のブログ。こけしネコ。


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カテゴリ:未分類( 5 )

#MeToo

#MeTooの動きから目を離せない。アメリカ映画界から始まった動きが各界に広がっている。政界に関する報道もあります(朝日の記事)。

 アリッサ・ミラノ始めハリウッドの有名女優がそろって参加しているから、日本の若い人々にもそれなりの大きなインパクトがあるものでしょう。しかもカトリーヌ・ドヌーブやブリジッド・バルドーら往年のフランス・スターまで参戦した。まあドヌーブやBBと言っても今や知る人しか知らないかもしれないけど、わたしはなぜか高校・学生時代少しフランス映画にはまっていた(当時目新しかったBSチャンネルでしょっちゅう放映されてた)ので、なつかしかった。ドヌーブらはMeTooの運動に対して反対したのですが、その後、批判を受けてセクハラ被害者に対して謝罪したようです。ドヌーブとしては、性暴力・性被害は当然良くないが、映画を始め表現に対する魔女狩りのような規制には反対だ、と自分の立場を明確にしました。




 というわけで、この米仏の論争は、セクハラ・性暴力自体については良くないことは当然だという共通理解がある程度できたけど、映画や美術界における性表現や「ジェンダー問題」についてはまだ争点となっているようです。例えば、女性の裸が描かれた絵をイギリスの美術館が撤去したという件などがよく報じられています。



 こちらの映画や美術に関する問題については、日本の反応を見ても撤去に否定的なものが多いようです。ですが、美術作品といえば女性の裸のオンパレードなのは誰でも知っていることで、そこにどのようなジェンダーをめぐるポリティクスが働いているか、考えてみることは大切。美術館だけでなく街ですらたまにおかれている彫像などにも女性の裸は展示されています。これをどう考えるか。一切撤去すべきなのか?だとするとわたしたちの美術・芸術の歴史はその多くがお蔵入りすることでしょう。それとも、この歴史を素材に、新たな、別な視線にもとづいた美術作品を発掘したり、創造したりという方向に向かうのか、議論の行き着く結論はひとつではありません。
 上記のイギリスの例は、国や行政などの一方的な命令によるものでもなさそうですし、美術館側が問題提起として行った一時的な措置のようですから、議論のきっかけとして歓迎すべきではないかと思います。
 映画の方を見ると、ルイス・ブニュエル、大島渚、ナボコフらの映画が性差別的だとして批判されたりしているようですが、こういうことにドヌーブらが反発したのは業界人として当然の行動でしょう。



わたしも一方的に禁じられるのはおかしいと思いますが、彼らは「大監督」として権威化され、持ち上げられてきている表現者たちです。ドヌーブらが名を挙げたフランス映画の代表作は、その多くが男性中心的なストーリー・物語・演出で作られています。私はそれでも面白く見てしまう映画ファンですが、同時に作品に含まれている様々な差別・暴力の問題を見過ごしていいとも思いません。権威を一旦棚に上げて、作品の意味を議論する機会を増やすのは、映画や美術を深め、広げるためにも意味のあることだと思います。

 さらに驚いたのは、小説『侍女の物語』の作者マーガレット・アトウッドもme tooに否定的な姿勢を発表したということ。

 ちょうどディストピア小説として関心を持って『侍女の物語』を読みかけたところだったので驚いた。
 ここまでくると、世代対立という要素が目立ってきますね。ドヌーブやアトウッドさんらの世代は、現在より性役割意識が強固な時代に自己形成した方々だから、映画や文学などの世界で成功するにはその男性中心的ルールの中で頑張らなければならなかったから、逆に女性に厳しくなる方も多い。
 もちろんアトウッドさんが問題にしている大学教員の解雇などについては、事情は様々で、常に処分が正しいわけではありませんが、かといってひとつのケースをMeToo批判に結びつけるのはどうなのか、ちょっと残念なような・・・。誰かが自分に起こった何かにNoということがどれだけ大変なことか、どうして見守ってくれないのでしょうか。対等な関係だったらいえるでしょうが、職場や学校などの上下関係で作られた組織の中で声を上げるのは並大抵ではありません。映画や美術などのフリーで活動する世界であっても、逆に人間関係・人脈が重要になる業界ですから、もっと声を上げにくいとも言えるかもしれません。

 翻って日本では大きな動きにはなっていないといわれていますが、伊藤詩織さんの『Black Box』はたくさん売れているようですし、共感する女性は多いはずです。私も読みましたが、被害の事実が克明に描かれていて、訴えるまでの葛藤に心を打たれました。



 ハリウッドのような目立つ動きにならなくても、ずっと地道にセクハラや性差別に対して声を上げようとしている女性たち、支援する男性たちはいます。対岸の火事として見るのではなく、じわじわと、#MeTooに共感するひとびとの小さな努力が、日本を変えていければと思います。








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by anti-phallus | 2018-02-14 14:27 | Comments(0)

セクハラ #MeToo 

 ここのところ気になっているセクハラの告発の動きについて書きます。
 アメリカの映画界や音楽界等で著名な俳優やアーティストなどがセクハラ被害について告発したことにも影響されて、日本でも声が上がっているという件。
 とりあえずニューズウイーク日本の記事を。


 この後、(日本の)有名ブロガーなども告発して、動きが広がっています。

 この動きをみていていろんなことを考えさせられます。今回特徴的なのは、やはり、被害者が顕名で告発していることでしょう。セクハラという言葉が社会に広まり出した時代、90年代初めには、ほとんどが匿名でした。私が個人的にも記憶に大きく残っているのは、京大矢野事件です。当時京都大学東南アジア研究センター所長で、ノーベル賞選考にも関連していた矢野暢氏が、複数の女性職員や研究者にレイプを含むセクシュアル・ハラスメントを繰り返していたということで、大きな問題になりました。ある被害者の方は裁判も起こしましたが、「甲野乙子」という名前を使われていました。この裁判(被害者の勝訴で終わった)については本(甲野乙子さん著)も出ています。私は大学に入学したての頃だったので「やっぱり大学といえどもこういうことはあるんだよな」みたいな気持ちで、納得とがっかり感と両方あるような心境で受け止めていました。

 その頃と比べると、ここ数年になって著名人を含む被害者が名前を出して告発するようになったことについては、ある程度「前進」したといえるでしょう。被害者が匿名でないと声をあげられない状況はあまりに酷いから。被害者は何も悪いことをしていないはずなのに、名前をあげられないということは、名前を出すことで否定的な反応、不利益しか想像できないからですね。告発することが社会的な死を含み持ってしまうという場合があるということ。それと比べると、被害者が名前を出して告発する、それをメディアが否定的ではない形で報道することができるというのは被害者を尊重する社会的意識が育ってきているということを意味しています。ですが、それでも被害者にとって顕名の告発は大きな「リスク」を抱えることでもあります。告発すると、加害者からの攻撃、周囲からのバッシング、ネット上のバッシングに囲まれることになるからです。これは今も変わっていない。
 
 被害者バッシングというのは男性も女性もやることで、その論理の主要なものに「有名になりたいだけだろう」というものがあります。被害の告発をして社会的な注目が集まることを目的としているのだろうという受け止め方。実はこの論理はセクハラの事実の有無に関わらず持たれうる。たとえセクハラが事実だったとしても目立つために告発したんだと受け止められれば、告発は無効にされてしまう。これは恐ろしい論理なのですが、それだけ私たちは「社会的な注目を集める」ことの欲望を自明視しているのだなと思うとまた怖くなります。「ひとは社会的な注目を集めるためならなんでもやる」という前提でなければ成立しない論理ですからね。ネット社会のなかでおおぜいのひとが自撮りしてSNSにアップする、それによってセルフ・プロデュースしてキャリアアップを追求するということが増えている今だからなおさら、こういう受け止め方は説得力を持ってしまいますね。

たまたま最近読んでいた内田春菊さんのエッセイ本で、「昔上京したての頃、肉体関係を持てばチャンスをくれるという話があるならどんどん持っちゃうと思ってたけどそんな話はなかった」という趣旨のことが書いてあった。内田さんはこういうことを書けるからすごいポジションにいるんだけど、多くの女性は、こういう欲求をもっていることすら口に出せないと思います。物書きのような特別な職業でなくても、普通の会社勤めであっても、「認められたい」「キャリアアップしたい」ということをはっきり口に出せる女性は多くないと思います。

仕事に打ち込んでいたら、周りに評価されたいと思うのは当然のことだし、男性なら難なくそれを表現できるし周りも期待するのに、女性となるとそういう願いを持つことは恥ずかしいことのように見られる。代わりに、「良いお母さんになりたい」「良い妻になりたい」というのはおおっぴらにいえることですね。

いつの間にか若干話がずれましたが(汗)、ともかくセクハラの告発に対して足を引っ張る心理には、こういう女性に社会的上昇を許さない意識が背景にあるように思います。

セクハラそれ自体が、仕事を続けたい、働きたいという女性の気持ちを利用して行われるし。仕事を続けたければ、多少の嫌なことには目をつぶらなくちゃ、となりますよね。セクハラの背後には、こういう仕事とジェンダーをめぐる複雑な意識が横たわっています。セクハラの解決には、仕事とジェンダーの複雑な絡みつきをなくす必要があります。

社会的上昇、承認を求める欲望をめぐる私たちの葛藤の深さと、そこにあるジェンダーの不平等。こういうものから解放されるのが本当のフェミニズムなんだろうと思います。












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by anti-phallus | 2017-12-29 21:46 | Comments(0)

沖縄

 沖縄の復帰運動を率い、復帰後の沖縄社会を規定した政治システムを「68年体制」というらしい。そしてそれに批判的な新しい潮流を「95年世代」と呼び、反復帰論や琉球独立論によって特徴づけられる。なかでも女性たちの「オキスタ107」が注目される。
 沖縄のこの新しい動きを知り、最近の沖縄言説の変化をどう考えたらよいのかという迷いも少し整理されたし、希望が感じられるようで非常に嬉しい。こうやっていつも沖縄から希望をもらってしまうというのは95年以来のわたしのだめな癖かも。別にいいのか?よく分からん。
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by anti-phallus | 2012-08-16 18:09 | Comments(0)

大学非正規労働実態調査報告会!

3月23日(金)に、大阪カフェ・コモンズで標記の報告会を行います。
 2年間かけて準備してきた実態調査をやっと実施できて、あとは分析を残すのみとなりました!
 中間報告会を行いますので是非ご参加ください。
 チラシをアップします。
PDFデータはここから入手できます。


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by anti-phallus | 2012-02-27 16:02 | Comments(0)

日本軍「慰安婦」問題に見る日本の戦後思想

 『危機からの脱出』という本に書きました。
 伊藤誠・本山美彦編、御茶の水書房より。
 変革のアソシエの年誌です。
 タイトルのような依頼を受けて、悩んだ結果、丸山真男等について書きました。



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by anti-phallus | 2010-05-23 21:11 | Comments(0)