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菊地夏野のブログ。こけしネコ。


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映画「君は永遠にそいつらより若い」

 久々の投稿。やっと時間ができました。またすぐ忙しくなる予感だけど。
 津村記久子原作の映画化。小説は結構良かったです。気に入った小説の映画化ってあまり観たくないのですが誘われていく。全体的にはまあまあ原作に忠実で、悪くなかった。ただひとつ、主人公を演った佐久間の演技がひどくて、棒読み感がずっと消えず。周りの俳優の優れた演技に支えられて、なんとか救われていた印象。プロデユーサーさん、キャスティングはきちんとしてください!顔で選ばないでほしい・・。(すべての佐久間ファンを敵に回した瞬間。)

 原作に忠実だった分、その異同が気になってしまうのだけれど、映画ではバイト先の後輩が悩んで、主人公に体の一部を露出するシーンがしつこく描かれていた。あれはなんでしょうか・・・?原作ではあれほど強調されていなかったと思う。「レズビアン的」要素とバランスをとるために強調したのかもしれないが、あれは確実にセクハラだったと思う。

 それから、私は原作の「ぬるい感」と「切迫感」が好きだった。主人公のだらだらした、津村独特の文体が良かったのだが、当然映画ではそれは少なく、代わりに主人公以外のキャラの存在感が増していて、そのせいでいわゆる「青春群像劇」のようになっていた。群像劇映画は一般に観客受けが良いからいいのかもしれないけど、小説好きのわたしのような者には・・・という感じ。

 ただ、観て少し時間を置いてから考えると、一番思い出されるのがホミネの部屋の高さ。スコーンと抜けていて、階段を結構上らないといけなくて、いつも青空とともにあるかのよう。あの部屋は、文学や映画、芸術の伝統的なテーマ、「若者の死」を象徴していた。ある種の若者は、上を目指して、登りつめて、ある瞬間に墜落する。わたしもこれまでいくつかその墜落の隣にあった。親しい人との別れは、相手の年齢にかかわらず当然辛いものだけど、それが自分より若い人のものだと独特の、身を切られるようなショックがある。あの部屋の空気感は、小説では得られない強さがあって、ベタかもしれないけど良かった。

 そして、それと対になって思い出されるのが、イノギの部屋の地面ぽさ。とても居心地が良さそうで、暗くて、広かった。あんな家に住みたいと思った。イノギは帽子と相まって、まるでゴブリンのような可愛さ。主人公は、あの部屋を訪れて、もぐって、自分を取り戻す。

 ホミネはある部分で主人公の代わり身だ。同じ志をもっているけど、ホミネは警察に捕まり、主人公は社会的キャリアを獲得する。社会に関わりたい、困っている子を救いたいという思いが半分では成功し、もう半分では犯罪化される。この危うさがこの映画のテーマなのだろうか。

 そもそも原作では京都が舞台だったのが、映画では東京に変えられている。京都の「ゆるゆる」でアングラな空気感がなくなってしまった分、映画では小豆島や和歌山といった地域との距離感をうまく使っていた。主人公は船で「平行移動」してイノギに会いに行く。


 児童虐待という社会問題に対して、個人や社会がどのように介入できるのか。おそらく社会が変わらないと(社会的再生産領域が根本的に再編されないと)本質的な解決はないのだが、ゆがんだボロボロの社会の中でがんばるホリガイ。いろんな内外の圧力と背中合わせ。いちおうは応援せざるをえない。でもそれはやっぱりイノギといっしょにあってほしいな。











by anti-phallus | 2021-09-20 11:29 | シネマレビュー