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菊地夏野のブログ。こけしネコ。


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レズビアン・フェミニズムからの同性婚批判(反婚)

 英ガーディアンのサイトに載せられている記事を抄訳しました。だいぶ前に読んだのですがどうしても面白かったもので。



 日本でも全国各地で同性パートナーシップの条例等が増え、また同性婚を認めるよう求める裁判も進んでいます。
 この記事では、同性婚が認められたイギリスで、レズビアン・フェミニストの立場から、結婚制度について考えたものです。筆者のジュリー・ビンデルは他の記事を見ると売買春には反対派のようでそこは賛同できませんが、結婚に関しては私も同じように考えます。
 他のこのサイトの記事でも書いてきましたが、同性婚そのものには私は強くは反対しません。ある意味当然の流れだと思います。異性愛者の特権を同性愛者にも拡大せよという要求は当然出るものだと。しかし特権は特権でしかないので、その特権を成立させている構造、その特権を持たない人々の存在を見失ってはいけないでしょう。
 結婚が、経済的にも社会的にも特権でなくなり、単なる個人的な選択の一つになるのなら何の問題もないですね。そうすれば精神的なつながりという意味合いが強くなります。そのためにはシングル単位の社会経済システムが実現しなくてはいけないのですが、同性婚を求める動きはそのシングル単位化への勢いを削ぐのではないかという問題もあります。

++++++++++++++++++++

同性婚は平等のためではなく、女性に沈黙を守らせる手段である

ジュリー・ビンデル
2014年6月16日

 歴史的に女性は、婚姻のために最も苦しんできた。なぜ今、あまりに多くのレズビアン・カップルがそのような保守的な制度を歓迎してるのだろうか?

 現在は、歴史上レズビアンやゲイである上で最良の時代なのだろうか?2013年婚姻法(同性カップル)の導入により、レズビアンとゲイは結婚する際に異性愛者と同じ法的権利を享受している。彼女・彼らは子どもの親として養育し、その子の出生証明書に同性の名前をつけることができ、職場での差別やハラスメントからの保護を得、軍隊に参加することもできる。

花嫁と花嫁のファッションに対するあらゆる祝福と議論の中で、誰もその制度そのもの、何十世紀もの間女性の自由を制限してきた制度に対して異議を申し立てようとしない。

若い頃、わたしは「Y B A Wife?」(あなたは妻になりたいの?)というスローガンを書いたバッジやTシャツを着ていた。わたしたちは結婚を批判した最初のフェミニストではなかった。サラ・フィールディング、メアリー・ヘイズ、メアリー・ウルストンクラフトのような作家は、産業革命期に「合法的な売春状態にすぎないもの」と結婚を評し、あらゆる社会で、より貧しい女性が結婚の中で最も抑圧を受け、同時に、結婚するようより大きな圧力を受けると論じている。一体何が起きているのだろうか?

70〜80年代、レズビアンは今以上に、活発に女性解放運動の一部を担うことが多く、そのなかで結婚に関する問題は家父長制的制度としてしばしば議論されていた。(地方自治体法)28条に反対するレズビアンのグループは、イギリス社会の異性愛の基本構造は解体されるべきだという理由から28条に反対する運動を行っていた。彼女たちは、「結婚はバラの寝床だと言われるが・・・とげにご用心!」というスローガンで結婚に反対するポスターを作った。そしていくつかの会議やセミナーを開催してその問題について討議した。

だが近年顕著なことに、女性にとって潜在的に問題のある結婚に関して議論が不在である。対照的に、今日、レズビアンはほとんど完全に結婚を受容しているようだ。

わたしは自分が同性婚に反対するただ一人の人間なのかどうか、もしそうであるならその理由を知りたかった。去年の9月、他の多くの問題と同様に、結婚への広く蔓延した欲望の背後に何があるのか見つけるために、ガーディアンのサイト(と他の二つの発行物)で二つの調査を行った。合計して、5492名がレズビアン・ゲイ対象の調査に回答し、4036名が異性愛者対象の調査に回答し、これまでイギリスで行われた同性愛への態度についての最も有意義な調査の一つとなった。9528名の回答のうち、89%(男女に広く分布している)もが平等な結婚を支持し、ストレートの回答者の大多数がレズビアン・ゲイ同様、同性カップルの結婚を支持していることを意味している。

またその調査によれば、多くのゲイの回答者は「普通であること」への欲望を持ち、「オルタナティブなライフスタイル」を送っているとは見られたくないことが分かった。「同性婚を支持しますか」という質問に「はい」と答えた回答者の多くは、結婚によってどのように同性愛者が異性愛者と平等になるかということや、彼(女)らが「同じ」とみられることを期待していることについてコメントを付け加えた。

シビル・パートナーシップと結婚はそれを提供するというが、イギリス国家統計局の最新の調査によれば、英国のシビル・パートナーシップは2012年に史上最高の数となり、7037組が結婚し、ゲイとレズビアンの同数が公的なカップルを選択している。

ゲイ・レズビアンの93.01%とストレートの93.69%が結婚に反対するフェミニストの議論に気づいているという事実にもかかわらず、同性婚は固く支持されている。

ケント大学の法学の上級講師であり、『結婚を望まない 同性婚のフェミニスト批評』の著者であるニコラ・バーカーは、結婚に反対することが平等に反対しているものとしばしば誤解されるという。「「結婚の平等」への祝福の中で見失われるのは、結婚は平等に関するものではないということである。結婚は特権を永続させることに関係している」と彼女は言う。

「同性婚の支持は保守的だというデビッド・キャメロンの明言に驚いたフェミニストは少ないだろう。同性婚は自立的な家族という保守的なイデオロギーにうまく合致し、国家の緊縮政策に貢献する」。

小説家のステラ・デュフィとシビル・パートナーシップを結んでいる作家のシェリー・シラースは、ふたりとも実現したらすぐに完全な結婚に転換することを希望していて、長くお互いを妻として呼び、お互いの名前をつけていると言う。「わたしは「結婚した」という言葉を使えるようになりたいし、それは法的な文脈の中にあることを理解している」とシラースは言う。

このような圧倒的な賛同のなか、私の調査の回答者とインタビュー協力者の何人かが指摘したように、レズビアンの結婚はなんとなく異性愛の、家父長制の物語を覆すという説がある。だがそうなのだろうか?

結婚は単に、レズビアンの亡命希望者の国外追放やいまだ蔓延する学校や宗教的コミュニティにおける反同性愛者のいじめのような複雑な問題に関して、わたしたちを沈黙させるための巧妙な策略にすぎないのか?たくさんのレズビアンが結婚に忙しく、招待客の名簿作りに励み、新聞の紙面に取り上げられたりしている間に、私たちのコミュニティで沈黙の中に苦しんでいる人々を見失ってはいないだろうか?この調査によれば、レズビアンとゲイの78%もが一生の間に偏見を経験していて、その4分の1以上が身体的な虐待を受けている。

米国を拠点としたレズビアンであり人権派の弁護士の故ポーラ・エッテルブリックは、1993年の文書「いつから結婚は解放への道になったのか?」のなかで、関係性への国家の介入について最も偉大な一文の一つを示している。「結婚は偉大な制度である。もしあなたが制度の中で生きたいのならば」。



















by anti-phallus | 2019-06-25 18:17 | フェミニズム