菊地夏野のブログ。こけしネコ。


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杉田水脈発言の問題性をどう考えるべきか

 前エントリで書いたBBC番組「Japan's Secret Shame(日本の秘められた真実)」を見ました。伊藤詩織さんの気持ちに寄り添って、かつドキュメンタリーとしての詳細な調査もそなえた良い番組でした。最後のあたりで詩織さんと別の被害に遭われた方が語っているところでは、力をもらいました。
 そのなかで杉田水脈議員が事件について詩織さんを批判している問題の場面ですが、「伊藤さんには女の落ち度がある」と確かに言っていました。「女性が働いていれば嫌な人にも声をかけられる、それをきっちり断るのもスキルのうち」「自分もそういうことは山ほどあるが、それはそういうものかなって」そして、「日本の司法が山口さんを訴えないという判断をしたのだから、それを疑うというのは司法を疑うということ」「司法に対する侮辱」「日本の警察は世界一優秀」「伊藤さんが嘘の主張をしたために、山口さんに抗議が殺到した。男性の方が被害を被っている」と言っていて、この人は本当に権力が好きなんだなと痛感しました。司法が全く間違いを犯さないという信念をどうやってもてるのでしょうか。司法といえども人間のやること。間違いを犯さない人間がどこにいるでしょうか。

 しかし、こうして問題となってニュースにもなって改めて発言を見るとひどさが分かりやすいけれど、何度も考えていると、どうしても、日常的によく出会う発言に見えてきてしまいます。授業で性暴力を取り上げると、受講者からかえってくる反応に必ずこういうものがあるのです。

 新潮45の寄稿でも、「もし自分の男友達がゲイだったり、女友達がレズビアンだったりしても、私自身は気にせず付き合えます。職場でも仕事さえできれば問題ありません」とあります。杉田議員は、このように自らは「差別していない」というポーズをとりながら、「生産性のないLGBTカップルに社会的支援を行うのはおかしい」としています。そもそも「LGBTカップルへの社会的支援」が具体的に何を意味しているのか不明です。同性パートナーシップを承認する条例等のことを言っているのでしょうか。「LGBTカップルに税金を使う」ことに反対をしていますが、カップルの証明書の発行に要する紙代や印刷代のことでしょうか。だとするとずいぶんセコい話に聞こえますが・・。それともその業務を扱う公務員の人件費のことでしょうか。わざわざ同性カップルの証明書発行にだけ臨時であれ公務員を雇う自治体はあまり想像できませんが・・。それ以前の前提として、同性パートナーシップの条例はあくまで同性のカップル対象のものですから、トランスジェンダーのカテゴリーとは直接関係ない話ですし(戸籍変更してないトランスで、同性愛者の場合は別ですが)。
 政策論だというのなら現状をきちんと把握してからすべきですね。

 それはともかく、杉田議員のようにLGBTと生産性を結びつける議論は、LGBTの権利を擁護しようとする文脈でも使われます。「能力の高い、生産性の高いLGBTを企業は高く評価すべきだ」という言い方ですね。ダイバーシティ(多様性)という言葉と結びつけて語られます。前述のくだりから想像するに、杉田議員はおそらくこの論理には賛成するんじゃないかと思いますが、今回の杉田発言を問題視した人々はどうなのでしょうか。「子どもの生産つまり再生産ができないからLGBT支援は不要」という論理に反対する人でも、「企業等で利益を上げるという意味での生産性」によってLGBTを評価する、という論理には賛成する人も一定程度いますよね。
 そしてこれは女性についてもいえることです。ずっとこのブログで論じてきていることですが、「能力の高い女性を正当に評価すべき」という論理がフェミニズムの内部にある程度根付いているわけですが、その論理では行けるところまでしか行けない。その「能力」を決めているのはそもそも誰なのか、どういう根拠に基づいて決められた「能力」なのかということまで考えないと自由には届きません。


 問題は私たちがいかに杉田的な論理から自由になるか、ということなのだと思います。生産性で人を評価し、処遇に差をつける社会があり、生産性を基準に作られている社会がある。そのことを認めた上で、そうでないものをどうやって作っていくかを考えないと、単に杉田発言を批判してもアリバイにしか見えません。運動内部であっても、当事者に序列がつけられ、生産性を強要されることはあります。杉田的な論理を自分たちの内部にあるものとして批判しないといけないのでしょう。

 そして、この発言をしたのが女性政治家だということにも注意すべき。近年ジェンダー論(海妻径子さんら)で議論されている女性保守政治家の台頭の問題です。保守の男性政治家同様に、さらにはそれ以上に過激な右寄りの攻撃性を表現する女性たち。これがジェンダー秩序の変容の基本的な一要素であり、単なる「男女平等」を示す指標と単純化してはならないこと。再生産を強要される女性という立場に立ってあえて再生産能力によって社会的支援の必要性を決定しようとすることの不気味さと、あるいはそれゆえの訴求力。男性がそれを言うより批判しにくくなります。今回それを言った杉田さんがまだ政治家としての権力がそこまで大きくないからいいようなものの、もっと人気のあるポピュラーな女性政治家が同じことを言ったら世論はどう反応するのでしょうか。


 最後に、前にも触れた優生保護法下の強制不妊手術等について「優生手術に対して謝罪を求める会」らが開催した集会で採択されたアピールが良かったので、掲載しておきます。

**************************************

2018.7.28 優生保護法に私たちはどう向き合うのか? 集会宣言

1. 国は優生保護法の人権侵害に早急な謝罪と補償を
優生保護法は、多くの人々の人権を侵害し、法改正から22年たった現在も、さまざまな影響を及ぼしています。
優生思想に基づく不妊手術(卵管や精管の結紮、切除)と人工妊娠中絶によって、さらに、法が認めた手術に違反して行われた子宮や卵巣、睾丸の摘出等によって、性と生殖に関する自己決定権や尊厳を否定された人々がいます。その当事者たちは、今も大きな苦しみを抱えています。
優生保護法によって、障害をもつ人への差別が正当化され社会に深く浸透しました。「不良な子孫」と決めつけられた人の「性と生殖の健康/権利」は、現在も奪われたままです。障害に対する否定的なイメージが強調され、障害者は不幸、障害は避けなければいけないという圧力は強まってさえいます。
国は優生保護法によって人権を侵害されたすべての人、とりわけ、第3条、第4条、第12条、第14条によって不妊手術や人工妊娠中絶を強制・強要された被害者に対して、心からの謝罪と補償を早急におこなうべきです。
2. 国は優生保護法による人権侵害の全容について調査検証を
20年以上、国が実態調査に取り組まなかったために、すでに多くの資料が捨てられてしまいました。国は直ちに、第三者的な調査・検証委員会を設けるべきです。
優生保護法による人権侵害の全容を明らかにする調査においては、法が定めた手術とともに、子宮摘出など同法の範囲を逸脱した行為も対象としてください。
3. 国は優生保護法への反省にもとづき、差別を解消する施策を
優生保護法による被害を風化させず、二度と繰り返さないために、市民、とくに医療従事者、教育・福祉関係者等が優生保護法の問題点を知り、差別解消に向けて学ぶ必要があります。
障害があってもなくても、誰もが、産むか産まないか、子どもをもつかもたないかを自分で決められること、どんな選択もサポートされ、性的指向やセクシュアリティも尊重されること、生まれる子に障害があってもなくても、育てる上で格差や差別がないこと……これらを実現する施策が求められます。

私たちは以上のことを強く求めます。

2018年7月28日
「優生保護法に私たちはどう向き合うのか?」集会参加者
























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by anti-phallus | 2018-08-07 17:12 | つれづれ | Comments(0)