菊地夏野のブログ。こけしネコ。


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2014年 03月 04日 ( 1 )

補足/結婚について

 昨日、あれだけ書いて力尽きたのですがまだ言い足りなかった(笑)。
 上野氏の記事を読み返しててだんだんと怒りを感じてきたのは、後半の、結婚=幸せ論。ユニクロとか鍋とかに目を奪われがちですが、より深い問題は、上野氏がここで結婚カップルをはっきりと推奨していることです。
 昨日も触れましたがこれまで上野氏は結婚制度を批判し、結婚しているフェミニストも批判していました。ところがこの記事では、若い女性に、結婚することを勧めている。

引用:
「女の分断の第1段階が「正規と非正規」だったとすれば、第2段階は「非婚と既婚」になるでしょう。少ない年収だって持ち寄れば倍になる。カップルとシングルの所得格差が拡大します。/ちなみにヨーロッパでは、男性が結婚相手を選ぶ際、稼得能力の高い女性を選ぶという傾向がはっきりと出ています。日本でも男性の平均所得は減少していますから、結婚相手に「キミは働かなくていいよ」なんて言わなくなるはずです。つまり、稼げない女は、結婚相手としても選ばれなくなる可能性が高い。」

 このへんほんとうにひどい。結局この記事は、女性たちに、「男性から結婚相手として選んでもらうために」稼ぐ力を身につけなさいと言っているのです!

 私が初めこの記事のタイトルを見た時、割と普通のこと言ってるなーと思いました。というのは、上野世代の女性運動に関わっている方々は、とにかく色々差別があっても、自分は(往々にして正社員として)働き続けてきたことに誇りを持っていることが多い。闘いながらも、職場を辞めずに働き続けてきたことを胸を張って語る。そして、若い女性たちにもそうすることをアドバイスすることが多々あります。だから、これまであまりそういうことを言っていなかった上野氏が同世代の女性活動家たちと同じようなこと言ってるな〜と思ったのです。
 ですが、よく読むとその働くことも、どうも男性に選んでもらうため、という目論みがあるよう。これは、女性運動に関わっている人たちはさすがにあまり言わない。は???なぜそんなお見合いを勧める親戚のおばちゃん(偏見)のようなことを・・・・戦略といってもほどがある。単なる未来予測として家族社会学者がこういうことを言うことはありますが、記事全体を読むとそれにとどまらないアドバイスとして読めてくる。これがジェンダー研究やフェミニストの考えだともし誤解されたら私は本当に嫌です。上野氏は一体どうしちゃったのか。

 結婚制度というものは、女性の賃金を安くしている根本のものです。たいていの経営者は言います、「きみは夫に養ってもらってるんだから給料が安くても/クビにされてもいいだろ」と。そして女性たち自身も、家事や子育てを抱え、「男性=正社員並みに」働けるわけがない。一般職で頑張っても、男性と同じ土俵には乗れない。そうして女性たちは辞めていき、子どもの手が離れるとやっとパートとして「復帰」するのです。
 また、結婚制度の精神への影響も計り知れない。こうやって、男がいないと暮らせないと思わされた女性たちは、常に男性からどう見られるか、結婚出来るかを気にし、女一人で、あるいは女性同士で生きていくなんてできない、さみしい、無理と思わされていきます。その現代版が「女子力」言説です。女子力のゴールは「幸せな結婚」。
 そして、結婚制度と切り離せないのがDV。どんな関係であれ権力関係のあるところにはハラスメントや暴力が発生する可能性が高まります。一方が他方を養うような関係性だったら、DVの発生するリスクは高まります。
 上野氏が推奨しているお互い年収300万円カップルだったらどうでしょう。その提案の中には、男女の賃金格差や労働のジェンダー構造を変革するという側面はなかったから、平均賃金が女性は男性の半分くらいの今の日本の格差のままだと思われるので、年収300万円同士のカップルでは、男性は妻と同じ収入であることを気にしている可能性が高い。社会が不平等なままですから、個人の意識もそうならざるを得ない。よほどの人物でなければ。そうすると妻の方はこれ以上自分の収入を上げて夫を脅かさないように気を遣うでしょう。夫はユニクロ、自分はしまむら、という見えない気遣いをせざるを得ないかもしれない。こういうぴりぴりした空気を上野氏は幸せといっているのか。
 上野氏の推奨している幸せ像は現実的ではないんですよね、こう考えると。

 ともあれ、結婚がジェンダー論の目標ではないということは少なくとも言っておきます。この記事が、まとめたライターのために、上野氏が話したこととだいぶ違っているならいいのですが。





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by anti-phallus | 2014-03-04 10:40 | フェミニズム | Comments(0)