菊地夏野のブログ。こけしネコ。


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2010年 02月 05日 ( 1 )

で、問題は。。ユニオンWAN争議(1)

 それでですね、気になっていることがありましてそれはユニオンWANの争議です。
 女性関連のNPOで、雇われていた友人が労働条件の不利益変更、さらに今では退職勧奨にあい、闘っています。
 友人というのは、もう名前が出ているからいいと思うので書きますが遠藤さんで、大学の先輩で、その後労働運動界隈で再会(?)し、京都のボスとわたしが言っているひとです。
 WANというのはフェミニズムを掲げ、日本のフェミニズムのポータルサイトを作っている団体です。理事には、ジェンダーやフェミニズムに関心のある多くの方々が知っている大学教員の名前が挙がっています。
 遠藤さんはウェブマスターとして雇われていたのですが、昨年12月に突然、その仕事の一部を業者に外注するから、労働時間および時給を下げますといわれたそうです。そういわれても困るので交渉を始めたところ、退職勧奨をされています。
 詳細は以下のブログにあるのでご覧ください。

非営利団体における雇用を考える会(仮)― WAN争議を一争議で終わらせない ―

 なぜ遠藤さんを支援しているかというと、第1には遠藤さんにはお世話になっているからです。労働問題を始め色々と頼りになる方です。
 そして、それに加えて、この問題は今までわたし自身がぶつかって考えてきたものにかなり近いからです。今までというよりは大学院生時代といった方がいいかもしれない。
 院生の頃からジェンダーの研究をしていたので、フェミニストの大学教員の方々と接することがありました。もちろんそのなかには素敵な人もいましたが、どうもえ??と思わされることもあった、のも事実。え??というのは、こちらの気持ちや立場を配慮する気がない一方的な言動についてです。

 院生時代、「フェミニスト」として名の知られた方々と、研究や運動などで接するとき、残念な思いをすることがいくつかあった。院生やODに対してずいぶん配慮がないなと思わされることがあった。
 こんなことをネット上で書くのはとてもためらわれます。もちろんその相手方が悪いと攻撃したいわけではありません。わたしも今より未経験・未熟だったので反省すべき点もあります。でもやはり、今回の争議の様子を知れば知るほど、わたしの経験と重なって見えるのです。 

 確かに、ジェンダー研究者の先輩方が切り開いてきたものがあるからこそ、わたしなども活動できているのは事実。ですが、だからといって下の世代のジェンダー研究者が、常に、その先輩方全員と同じものを見ているわけでも、同じことを望んでいるわけでもない。

 そして、院生と大学の専任教員では大きな権力関係があるから、よほど慎重でないと、個人対個人の関係の中にもその権力性が入り込んでくるのです。専任のほうが望んでいようといまいと。わたし自身、専任に就いてから、学生や院生、その他の人々と接するとき、何度となく、この立場の権力性や権威に気づかざるを得ず、うーんと頭を抱えることがある。

 さらに問題が複雑になるのは、そういう上下関係が、フェミニズムの論理の中で、「シスターフッド」の名の下にごまかされてしまいかねないことです。

 もちろん自分の権力性に鈍い大学の「先生」はなにもフェミ系に限ったわけではありません。変な人はあちこちにいます、残念ながら。ですがフェミ系の場合の難しいところは、それが普段主張していることと恐ろしくかけ離れてしまうからでしょう。フェミというのは、ミクロな権力関係に敏感であることであり、見逃されやすい私的な領域での政治を告発したから意義があるのだと思います。それを提唱し、そのようなスタンスで研究や活動をやっている有名な方に対しては、どうしても周りは期待してしまう。そしてそれが裏切られたと感じるとき、とても傷ついてしまう。
 
 今回のWANの件は、おそらく当初は遠藤さんを、「自分たちのフェミニズムに理解があり、協力的で、少々大変なことでも頑張ってやってくれるだろう」存在として思っていたことから始まったのではないかと思います。でも、人を雇うというのは、そんな簡単なものじゃない。雇われる側にとっては死活に関わることです。雇う側と雇われる側がシスターフッドで連帯できるなんて、世の中そんなに甘くない。その辺が分かっていなかった、つまりは雇われる側の気持ちや立場に想像力を働かさなかったのではないか。

 勝手なことを書いたかもしれません。でもわたしはWANの理事の方々に、今回の件で、誠実に責任もって対処して欲しいと思う。何が問題なのか、いちから考えて欲しいと思う。遠藤さん達をクビにして、それで済ませてしまうのでは何も変わらない。変わらないどころか、フェミへの誤解や反感が、どんどん増加してしまう。そうなってしまったら、本当に残念。
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by anti-phallus | 2010-02-05 16:58 | ユニオンWAN争議 | Comments(0)