菊地夏野のブログ。こけしネコ。


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セクハラ #Me too 

 ここのところ気になっているセクハラの告発の動きについて書きます。
 アメリカの映画界や音楽界等で著名な俳優やアーティストなどがセクハラ被害について告発したことにも影響されて、日本でも声が上がっているという件。
 とりあえずニューズウイーク日本の記事を。


 この後、(日本の)有名ブロガーなども告発して、動きが広がっています。

 この動きをみていていろんなことを考えさせられます。今回特徴的なのは、やはり、被害者が顕名で告発していることでしょう。セクハラという言葉が社会に広まり出した時代、90年代初めには、ほとんどが匿名でした。私が個人的にも記憶に大きく残っているのは、京大矢野事件です。当時京都大学東南アジア研究センター所長で、ノーベル賞選考にも関連していた矢野暢氏が、複数の女性職員や研究者にレイプを含むセクシュアル・ハラスメントを繰り返していたということで、大きな問題になりました。ある被害者の方は裁判も起こしましたが、「甲野乙子」という名前を使われていました。この裁判(被害者の勝訴で終わった)については本(甲野乙子さん著)も出ています。私は大学に入学したての頃だったので「やっぱり大学といえどもこういうことはあるんだよな」みたいな気持ちで、納得とがっかり感と両方あるような心境で受け止めていました。

 その頃と比べると、ここ数年になって著名人を含む被害者が名前を出して告発するようになったことについては、ある程度「前進」したといえるでしょう。被害者が匿名でないと声をあげられない状況はあまりに酷いから。被害者は何も悪いことをしていないはずなのに、名前をあげられないということは、名前を出すことで否定的な反応、不利益しか想像できないからですね。告発することが社会的な死を含み持ってしまうという場合があるということ。それと比べると、被害者が名前を出して告発する、それをメディアが否定的ではない形で報道することができるというのは被害者を尊重する社会的意識が育ってきているということを意味しています。ですが、それでも被害者にとって顕名の告発は大きな「リスク」を抱えることでもあります。告発すると、加害者からの攻撃、周囲からのバッシング、ネット上のバッシングに囲まれることになるからです。これは今も変わっていない。
 
 被害者バッシングというのは男性も女性もやることで、その論理の主要なものに「有名になりたいだけだろう」というものがあります。被害の告発をして社会的な注目が集まることを目的としているのだろうという受け止め方。実はこの論理はセクハラの事実の有無に関わらず持たれうる。たとえセクハラが事実だったとしても目立つために告発したんだと受け止められれば、告発は無効にされてしまう。これは恐ろしい論理なのですが、それだけ私たちは「社会的な注目を集める」ことの欲望を自明視しているのだなと思うとまた怖くなります。「ひとは社会的な注目を集めるためならなんでもやる」という前提でなければ成立しない論理ですからね。ネット社会のなかでおおぜいのひとが自撮りしてSNSにアップする、それによってセルフ・プロデュースしてキャリアアップを追求するということが増えている今だからなおさら、こういう受け止め方は説得力を持ってしまいますね。

たまたま最近読んでいた内田春菊さんのエッセイ本で、「昔上京したての頃、肉体関係を持てばチャンスをくれるという話があるならどんどん持っちゃうと思ってたけどそんな話はなかった」という趣旨のことが書いてあった。内田さんはこういうことを書けるからすごいポジションにいるんだけど、多くの女性は、こういう欲求をもっていることすら口に出せないと思います。物書きのような特別な職業でなくても、普通の会社勤めであっても、「認められたい」「キャリアアップしたい」ということをはっきり口に出せる女性は多くないと思います。

仕事に打ち込んでいたら、周りに評価されたいと思うのは当然のことだし、男性なら難なくそれを表現できるし周りも期待するのに、女性となるとそういう願いを持つことは恥ずかしいことのように見られる。代わりに、「良いお母さんになりたい」「良い妻になりたい」というのはおおっぴらにいえることですね。

いつの間にか若干話がずれましたが(汗)、ともかくセクハラの告発に対して足を引っ張る心理には、こういう女性に社会的上昇を許さない意識が背景にあるように思います。

セクハラそれ自体が、仕事を続けたい、働きたいという女性の気持ちを利用して行われるし。仕事を続けたければ、多少の嫌なことには目をつぶらなくちゃ、となりますよね。セクハラの背後には、こういう仕事とジェンダーをめぐる複雑な意識が横たわっています。セクハラの解決には、仕事とジェンダーの複雑な絡みつきをなくす必要があります。

社会的上昇、承認を求める欲望をめぐる私たちの葛藤の深さと、そこにあるジェンダーの不平等。こういうものから解放されるのが本当のフェミニズムなんだろうと思います。












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by anti-phallus | 2017-12-29 21:46 | Comments(0)