菊地夏野のブログ。こけしネコ。


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家族に介入する国家が問題なのか:親子断絶防止法案

 最近、「家族に介入する国家」という言い方を見かける。そのとき話題になっているのは憲法24条や「親子断絶防止法」案。親子断絶防止法案は、今国会で成立がめざされている、超党派の議員による法案。この法案については早くブログで書かなければと思いつつ、4月は怒涛の忙しさで動けず、連休に入ってやっと抱えていた論文もひと段落し、まとめ始めることができました。

 この法案は、「子の連れ去りを防止する」ことを目的としていて、「子の連れ去り」とはなんだか随分悪いことのような言い方ですが、別居や離婚をするときに片方の親が子を連れて出て行くことを意味しています。そう聞いてもなかなかピンとこないと思います。親子の断絶を防止するなどといわれると、良い法案のように思えてしまうと思います。ですが実際はかなり危ない法律なのです。
 厚労省のデータ(リンクはこれ。このデータは重要です)によると、2012年時点で子どものいる世帯中、母子世帯は6.8%で、父子世帯は0.8%なので母子世帯が多数派です。
 この法案は、離婚後、同居していない親と子の面会交流を義務づけようというものです。離婚後、当事者間で一定の関係性を保てていれば面会の義務づけなど必要にならないわけで、問題になるのは両親間や親子間で信頼関係が損なわれて争いがある場合です。そしてそこにはDVが相当割合推測できるわけですね。


 これまでたくさんのDV被害に遭われた方々にお話を伺ってきましたが、DVは本当に体だけでなく心までむしばみます。新しい場所で新しい生活を始めようとしていても、元夫に居場所を突き止められないように、これまでの人間関係を全て絶って、名前まで変えて生活している方もいます。子どもも、自分は直接DVを受けていなくても、母の被害を見ていれば同じように感じてしまいます。そしてお話を聞く中で印象的だったのは、多くの女性が、「自分のことだけだったら我慢したかもしれないけど、子どものためにこれ以上止まってはいけないと思って逃げることを決意した」と語っていたこと。
 DV支援をしているある弁護士の方は、「子どもの方が逃げるよう母の背中を押すことも多い」と言っていた。
 この法案は、「DVの場合は特別に配慮する」としていますが、どのケースが DVでどれがそうでないか、誰がどのように決めるのでしょうか。被害者がDVを訴えても、それを認める加害者は少ない。もしこの法案が実現されたら、DVケースのうちごく一部のものしか配慮の対象にならないのではないか。

 ほかにもこの法案が実現したら、離婚するときに、役所の窓口で、子のいる場合、面会交流の取り決めができていないとされれば離婚届を受け付けられなくなるかもしれない。またこの法案によって、母子がDV夫から逃げる際に、これまで行政がしていた相談/支援活動を受けにくくなるおそれもあります。行政が、「子の連れ去り」を支援したと非難されることを恐れるからです。

 そもそも、なぜ面会交流を義務づけなければならないのでしょうか。面会交流は「子の最善の利益」のために、としていますが、子どもにとってそれは本当に常に必要なことなのでしょうか。別居したり離婚したりとなった場合、そうなったまでにはそれなりの事情があったはず。なぜその後で行政が「面会交流」のみ義務付けるのでしょうか。
 多くの関係者が批判しているように、行政がやるべきことはもっとほかにある。
 まず、養育費やひとり親家庭の経済的困難の問題。母子世帯で、父から養育費を受けているのは2割を切ります。養育費を受けていても金額は月数万円程度。母子世帯の年収平均は181万円です(ともに前傾データより)。貧困率もすごい。行政がやるべきは、養育費の支払いをもっと確実にするか、公的な支援を増やすことでしょう。アメリカなどでは養育費の取り立てはかなり厳しいですが、日本では、例えば転職してしまえばもう追えません。まあDVの場合、養育費どころか関係を切る必要のある場合がほとんどなので、行政のひとり親家庭支援策の拡充の方が重要ですね。
 この法案は養育費や経済支援についてはほとんど触れません。面会交流のみです。そこから連想したのが、戦前は女性は法的に無能力者とされていたため、離婚して家を出るときには子どもを連れて出ることは許されなかった。子は家父長のものとされていたから、ということ。この法案が背景にしているのはそのような家族観なのではないかということです。子どもはいつでも親、特に父親に従うべきもの、母が連れて出たとしても父の権威を忘れてもらっては困る、という意識。
 実は私は昨年母を亡くしました。そのため親子や母子、家族について改めて色んなことを考えざるを得ませんでしたが、少なくとも言えることは、私が母を尊敬するのは、私の自由を尊重してくれたこと。良い親子関係のためには子どもを尊重することが必要条件ではないでしょうか。家父長が一番偉くて次に偉いのは長男、なんて序列が決まっているような家庭はしんどくてたまらない。もし自分の両親が離婚したとして、どちらかの親に会うよう誰かに仕向けられたり、まして行政から義務づけられたりしたら、それだけで非常にストレスでしょう。
 法律で会うことを義務づけられたりするなんてもうその時点で親子の関係性は傷つけられてしまう。親子関係はそもそも上下関係、権力関係のあるものですから、これ以上負荷をかけてはいけないと思う。行政は、親子関係や家庭が当事者間でできるだけうまくいくよう「見守る」べきで、虐待やDVなどの問題がある場合に支援を全力ですべきで、家庭の形がどうあるべきかということまで介入してはいけない。


 とこういう風に考えていて、冒頭の、「家族に介入する国家」という左派側のスローガンにひっかかってしまった。この法案を「家族に介入する国家」として批判すると、じゃあDVなどで被害者を支援する場合も「国家の介入」になってしまうんじゃないかと思ったから。
 家庭というのは容易に支配と従属の関係になりがち。しかもどんな内実であっても「家庭は癒しと憩いの場」「国の基礎単位」という美名で覆い隠されがち。それを考えると、国家が家族に介入することが問題なのではなくて、どのような介入なのかということが問われるんですね。支配に転化しがちな家庭の形を守るのではなく、あくまで一人一人の人権と自立を尊重するのが行政の望ましいあり方。

 ところがそもそもの人権のレベルから崩されようとしているのが近年の動き・・・。安倍首相が5月3日憲法記念日に日本会議の集会で改憲を2020年まで実現するというメッセージを発表した(…)ということですが、自民党が目指す国のあり方は、戦前の家父長制的家族をモデルにしています。家父長を絶対として皆が上下関係に縛られる家族のあり方は、政府に国民が従い戦争にも行く国の基本とされているのです。
 私は、そんな息苦しい家族の方がよっぽど愛情を欠いていると思いますがどうでしょうか?愛情を育てたいなら、できる限り力関係は減らして楽にすべき。
 やっぱり周りを見回すと、息苦しい家族関係はまだまだ多い。息苦しい中で育ってしまうと、平等や対等、個の尊重ということを想像できないから、息苦しいのが普通になってしまう。安倍さんたちが望んでいるのはそういう世界。トップにいる人たちばかりが輝く世の中。
 フェミニズムが目指してきたのは、より自由で平等な社会。そのなかでDV被害者を支援する法や行政が生まれてきた。でも被害者支援策はまだまだ不十分。この断絶防止法案はそういうフェミニズムの第1歩をつぶそうとしている。
 今期国会で、共謀罪の後に審議予定と報道されています。マスコミではまだまだ注目されていないこの法案。危険性を理解して、なんとか止めないと…。




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by anti-phallus | 2017-05-05 23:51 | フェミニズム | Comments(1)
Commented by サド at 2017-05-20 13:58 x
結婚制度を廃止したらいいのにね。
親子関係断絶防止法なんて言うのは、
結局、父子間に愛着関係を結ばせたことが原因。
男に経済的に依存しようとする女性の甘さが招いた事態。
子種は、既婚男性から仕込んで、
妊娠したらお別れすれば後腐れないでしょう。