菊地夏野のブログ。こけしネコ。


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松浦理英子『犬身』

 久しぶりに松浦理英子を読んでいる。ずっと前に『ナチュラル・ウーマン』他を読んで以来、最近どうしているのかな〜と思い調べたらいくつか書いていた。
 新しいもののうちそれほどでもなかったものもあったけど、『犬身』は非常に良かった。わたしの犬好きの性(さが)が刺激されたのもあるが、松浦の新境地というか円熟の境地というか、こういう文壇的な手あかのついた言葉を使うのはどうかと思いつつ。

 レズビアン作家というような脚光の浴びせられ方をされた松浦だが、作品をよく読むとそうではないものを表現しようとしていることが分かる。ヘテロセクシュアルでは当然及ばず、かといって女性同士であろうとも得られない世界、そんな存在も確かでないものを求める欲望。たぶんそれは、松浦の一貫したモチーフなのだが、初期作品ではまだゴールに到達していないような感じ。

それが『犬身』を読むとよく分かる。犬と飼い主にしか届かない、高みにある親密性。言葉ではない、身体を直接交わすことによって得られる快楽が、人間同士ではない組み合わせによって成される。ただしこれはやっぱり女性同士の性愛の隣にあるようにわたしには読める。

 これを読んで、自分の中で何かが言語化されたような感覚があって、良い小説というのは言語によってできているににもかかわらず、いつのまにか読者の身体を変容させるのだなと思った。これを読んで確実に良かったと思う。
 今社会に流通しているセクシュアリティのテクストを裏切って、そうではない、でも確かにあるものをテクストによって具現化させる。すごい作業。

 読後生み出されるものは感覚なのだけど、それを実現する手段である言語は、完全に達人のレベルで、一瞬驚くような語彙が多い。ああこういう事柄を言葉にするとこういう表現になるのか、というような新鮮な発見を導く表現もある。言語は身体なんだな〜という嘆息。
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by anti-phallus | 2015-01-30 17:08 | ブックレビュー | Comments(0)