菊地夏野のブログ。こけしネコ。


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結婚の平等を求める運動における不平等

 ある文章を紹介します。エミー・スエヨシさんというサンフランシスコ州立大学の研究者のものです。同性婚の運動を批判したもので、もとは2009年に書かれたものですが、アメリカで同性婚が認められた今、この批判はさらに大きな意義を持っていると思います。
 日本では、アメリカと当然ながら背景がかなり異なりますので、すぐに当てはめることはできません。ですが、LGBTの運動が大きくなりつつあり、政治家や企業との関連が目立つようになった昨今、エミーさんの批判が同様に生きる部分があるように思います。
 同性婚の主張は分かりやすく、マジョリティに訴えかけやすいです。ですがその後ろで見落とされる問題も大きい。結婚制度は、基本的に今の社会のありかたの中にあるもので、マジョリティーマイノリテイを生む構造に逆らうものではありません。個人の財産を守る制度が結婚なのであり、逆に言えば守るほどの財産を持っている人、多くの場合は人種的マジョリティで、階層の高い男性たちのための制度なのです。結婚についてずっと考えてきて、たどりついたのがこの結論ですが、いきなりこう書いてもよく分からないですよね、すみません。また頑張って論じますww。
 とりあえず、エミーさんの了解を得て文章を訳しました。わたしは英語はダメな人間で自信はないです。問題がありましたらご連絡下さい。

(原文はこちら

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結婚の平等を求める運動における不平等


新聞や教会、オンラインのブログなどでは結婚の平等について熱い議論が交わされている。全国のクィア団体は同性カップルのための努力を倍増させている。結婚はゲイとレズビアンの正常化と包摂に向けた更なる前進の一歩になるだろう。だが皮肉にも、結婚を求める運動はこれまで、包摂あるいは平等に関するものであったことはほとんどなく、コミュニティを超えた連合を築く貴重な機会を妨害したり、より立場の弱いクィアたちの周縁化を生んだといわざるを得ない。活動家や抗議者、ボランティアたちが同性婚の闘いのために街に出て、合法化の主張が平等と社会正義を促進するにつれて、より大きな憎悪や貧困の問題や、支援を必要とする人々は放置された。

連帯が崩壊する最も明らかな瞬間は、カリフォルニア州で同性婚を禁止するプロポジション8が通過した瞬間に起きた。メディアはアフリカ系アメリカ人やラテン系、アジア系などの有色の人々を責めたが、後に、有色の投票者たちは、当初信じられていたほどとくに大きくプロポジション8を支持していたわけではないことが判明した。その現象は、平等の失敗を有色の人々のせいにするという白人のアメリカ人の姿勢を反映していたし、また白人のクィアたちがいかに、有色の人々のコミュニティだけでなく、よりひどいことには、有色のクィアたちまでを長く遠ざけてきたかということを浮き彫りにした。有色のクィアたちは、よりうまくそのコミュニティを進展させていたかもしれないというのに。

批評家もまた、同性婚は白人で中上層階級のレズビアンやゲイたちの優先権を特権化していると指摘している。とりわけ、ある調査によれば、アメリカのアジア系LGBTたちは、結婚する権利を得るよりも重大なこととして、移住や医療保険、レイシズム、ヘイトクライムなどの問題に関心を示している。まったく、結婚の平等が議論されているこの瞬間にも、性労働者やホームレスの人々、HIV陽性者たちのような、より周縁化されたクィアたちのための生死に関わる問題をめぐるサービスは、後ろのコンロで煮えこぼれないまでも、煮え立ったままである。

それにもかかわらず、資力のある全国組織は、後ろにあるものを十分振り返ることなく、結婚をめぐる舞台に弾丸のような早さで突き進んでいる。政治学者や法律家たちが、連邦レベルで同性婚が合法化されるのは時間の問題だと言っているにもかかわらず、クィアの団体は、生死に関わる問題でもあるかのように結婚の運動に取り組んでいる。この種のシングル・イシューへの傾注は、他のクィアに関する課題に否定的な影響を与える。昨年、全てボランティアで運営しているサンフランシスコ・ベイエリアの組織「アジア太平洋地域のクィア女性とトランスジェンダーのコミュニティ」(APIQWTC)は、毎年の資金活動のためのスポンサーとしてある全国のクィアの団体に呼びかけた。その団体は断った。その団体は、結婚の平等のために積極的に活動していないグループには一切支援を拒否している。APIQWTCを排除するだけでなく、同性婚のキャンペーンは、クィア・コミュニティにおけるあらゆることよりも一方的に優先されているのである。

経済悪化よりも前から、最も周縁化されたクィアたちに社会サービスを提供していた機関や組織は弱体化しており、一方で結婚の平等を求める社会活動は、スパークリングワインと、長い付き合いの恋人に退職後の年金を譲れない不愉快さについてのおしゃべりでいっぱいになっていた。今や経済危機のまっただ中で、コメンテーターは、サンフランシスコにおけるHIVサービス提供者の3分の1が9月までに活動を終了するだろうと予告している。何年も前から、−−−−有色の人々の間でHIV罹患率が上昇しているとき(そして白人の間での罹患率は低下している)−−−−あらゆるレベルでのHIVの調査や予防活動のための資金提供は減少していることはたぶんおどろくべきことではないのだろう。恐らくエイズは、もはや危機ではないのだ、有色の人々は文字通り死につつあるとしても。どれだけ多くの同性婚のために闘っている組織が9月までに終了するというのか?

「全ての人々のための平等」を掲げる結婚の運動の、ひとつのことしか考えない決意は、より緊急の不平等に苦しんでいるより多くのクィアたちのことを忘れてしまっている。これらの不平等は、「特殊な事柄」とか、「より大きな」コミュニティには関係ないと見なされてしまうかもしれない。これは真実から遠いことではないだろう。最も遠い事柄は私たちの生活に密接に影響を与える。例えば、食料の提供や他の社会サービスに資源を投入してきた教会は、今はそのすべてのエネルギーを結婚を守ることに傾けているといえるかもしれない。その転換は、地域レベルでの社会福祉の資金集めに影響を与えるだろう。より大きいスケールでは、完全に正当化されない戦争に何十億も費やすことは、緊急の国内の問題から資金をそらしてしまう。疑いもなく、戦争の推進や反移民、反フェミニスト、レイシスト、ホモ/トランスフォビアの運動をめぐる問題は常に共通の課題だった。海の向こうのさざ波は、私たちの浜辺で大きな波となって打ち寄せるだろう。社会正義の運動の未来に向けられたわたしたちの挑戦は、私たちの闘いの全てが本質的に結びついており、絶対的に関心を必要としていることを私たち自身の中に思い起こすことにあるのだろう。結婚は、私たちの最も緊急の社会悪に対する解答ではないのかもしれない










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by anti-phallus | 2014-05-04 16:08 | クィア/LGBT | Comments(0)