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菊地夏野のブログ。こけしネコ。


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論叢クィア06

 クィア学会の学会誌第6号ができあがりました。今回はとくに面白いような気がします。
 論文でもいくつか読み応えあるものがありました。
 ここでは書評で重要なものを紹介。
 山口智美/斉藤正美/荻上チキ著『社会運動の戸惑い』の書評ですが吉仲崇さんの評。この本自体、重要な書で、ここで紹介したいと思いつつできていないのですが、吉仲さんの評はとても良かったのでよかった(同語反復)。
 読みやすいのでとくに内容紹介はしませんが、この評のポイントは下記の部分かな。

 フェミニズムにおいて研究と行政活動がクロスした時、「正しさ」という尺度が生まれ、正しい知識を生む人と使う人の役割分担ができる。つまり、研究と運動の二元論である。評者は、この二項分離がフェミニズムだけではなくセクシュアリティに関する議論でも生じていると指摘している。

「境界線に甘んじたり、戦略のみに生きたり、『正しい知識』のみの立場からの言説構築をしたりする役割分担的ポジショナリティは、結局乖離の再生産を生むことになり、生産的な将来を描けなくなることを認識すべきであると、本書は警鐘を鳴らしているように見える」

 確かに、フェミニズムでは制度化や権威化が一時問われたにもかかわらず、今はもうそんな余地もなく、二元化した研究も運動も縮小してしまっているような。。そしてセクシュアリティ関連だと、フェミニズム以上に「正しい知識」という概念が普及しているようにも思える。

 同性愛は異常ではないとか、性は多様であるとか、ある意味当然だし、確かに「正しい知識」なのだろうが、評者の指摘のように「正しい知識」という概念は危険でもある。簡単に通じやすい分、ひとびとのあいだの役割分担、ひいては権力関係を再生産してしまいます。
 「正しい知識」という概念を使わずに済む伝え方があればいいのですが、そこが一番難しいところですよね。

 研究と運動の関係というのは古くて新しいテーマなので、この学会誌において論点として立ち上げられたのは意義深い。クィア・スタディーズでこの問題を正面から問うことは実は学会的にも必要ですよね。
 学会のサイトから購入できますので是非どうぞ。
by anti-phallus | 2013-11-13 16:42 | ブックレビュー