菊地夏野のブログ。こけしネコ。


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ノルウェイの森

 映画を観たので原作を読み返したくなった。
 大学に入ったばかりのころ友人から借りて読んだ。そのときは、こんな世界があるんだと思ったけど、今はもっと深く感じることができる。たぶんあのころわたしは言葉を持っていなかった。じっさい、言葉を持っていないことが不安で怖くてたまらなくて、本ばかりむさぼるように読んでいた。図書館にいれば安心できたあの頃。
 今は、読みながら、自分の言葉を探してきて、たぐり寄せて、考えながら読むことができる。小説の中と同じような経験、同じような思いが湧いてくる。
 随所に出てくる学生運動への批判。それに対峙するような、女性たちの声と身体。
 村上春樹とフェミニズムの関係性は誰かが論じなければならないだろう。

 誰かが自ら死んだとき、残されたものたちはどうやって生きていけるのだろうか。誰かが捨てた、逃げた世界で、残されたものたちはどうやって病まないでいられるのだろうか。

 主人公は、友人の自死を経て、東京の大学にやってくる。そこで出会うのは1969年、真っ盛りの学生運動。時代が大文字の政治に夢中になっている中で、彼は個人の闘いを担わなくてはいけない。この作品は、そのせめぎあい、個人レベルでの孤独や虚無、欲望と、大文字の政治のレベルとのずれ、対立を主題のひとつとしている。そのなかで彼を救うのはある女性たちとの関わり。

 発表された当時、緑と赤の装丁と相まって、時代の象徴として語られたが、今読み直しても古さを全く感じさせない。若い年齢に共通の、不安定さと暴力性、理想主義、傲慢さ。
 少なくとも当時わたしはこれを読んで、なにがしかの支えは得られたと思う。当時は気づかなかったが、こんなに暗くてもいいんだ、無気力でもいいんだと感じた部分があった。今の社会で、そういうメッセージは得難いのではないか。自分の中に閉じこもって、社会の役に立たない時間、周りに喜ばれない時間をもってもいいんだと。ほんとうに苦しんでいる人は、そういうメッセージを必要としているのではないかと思う。
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by anti-phallus | 2011-01-18 23:24 | ブックレビュー | Comments(0)