菊地夏野のブログ。こけしネコ。


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個人より構造

 前回のエントリで長々となぜあんなことを書いたのかなと思い返したら、結局わたしがいいたいのは、この争議の問題をどう捉えるかというときに、個人的なレベルより構造としてとらえるべきだと考えているんだなと気づいた。
 というのは、この争議はややもすればWAN理事たちのパーソナリティや個人的な性格・人柄の問題として語られがちだ。だが、そういう面がないとはいえないが、それだけではないだろう、そういうふうに個人の問題にしてしまうと捉え損ねることがあるだろうと思う。
 それはフェミの社会的位置の問題だ。今、力を持っているフェミ、その言葉や研究がフェミニズムの代表として流通しているようなひとびとも、時代の産物であり、ある時代であったからフェミニズムが一定の価値ある言説や運動として認められ、位置を獲得していった。そしてある経緯の結果、WANという団体も作られた。その結果としての労働問題であり、争議なのである。
 その歴史の中には、その時代のフェミニズムには本当の意味で労働問題への視点が足りなかったことが指摘されなければならない。それは、フェミニズムという立場が、社会科学よりも人文科学の中で行う方が抵抗が少なかったという事情もあるかもしれない。だが、それ以上に、研究レベルではなく、足元の労働問題への意識が足りないという問題がある。それは、大学という組織全体が抱えている問題でもあるのだ。
 大学という制度の社会的意味についてもういちど考え直す必要があるだろうという意識がわたしには強い。大学において労働問題について研究する人は多いし、最近の貧困研究のブームにより注目もされている。だが、大学の中での労働問題については依然として、取り組む人は少ない。大学教員といえ労働者なのである。優遇された労働条件にあるからみな考える必要がないかのようにしているが、だからといって労働者でないわけではない。
 ワークショップの中で、ある方からパネラーに、「あなたが大学で誰かを雇用する立場になったらどうするか」という質問がなされたが、わたしはあれに違和感があった。大学でひとを雇用するのはほとんどの場合、専任教員ではなく、大学である。たまーに私設秘書として個人的に専任教員がひとを雇う場合もあるが、それはとくに文系の場合は少なく、その場合はその教員のポケットマネーから賃金が払われるはずだ。そういう例を除いて、たいていは雇用者は形式的にせよ大学である。だから、その質問は、その趣旨を汲み取って正確に発されるならば、「あなたが雇用するとき」ではなく、「あなたの同僚として非正規労働者が大学に雇われたとき」なのである。非正規だろうと正規だろうと同じ職場で、同じ仕事に関わっているならば、同僚である。それが正規と非正規で分断されていることが問題なのである。
 にもかかわらず、大学が雇用者なのに、実態として、直属の上司に当たるような専任教員が人事権をもっているような状況にあるのが現実だが、それが、そこでの関係性をより個人的なものにイメージさせる一因ともなっている。つまり大学では、企業よりも、いち労働者の職務能力を、その業績や勤務態度によってではなく、人間関係、実力者である専任教員の個人的な評価で決められてしまう事態が発生しやすいのではないか。
 実はこれは、非常勤講師の労働運動がぶつかる問題でもある。非常勤講師の雇用者は大学なのだが、実質的に決めているのは専任の教員なので、何か問題が発生したときに非常にややこしい。組合としては、瀬任教員と、大学全体の責任者、例えば理事会をそれぞれ別々に考えないといけない。その2者で立場が違ったりする。
 まとめれば、専任教員も自らの労働者性についてもう少し認識を深め、労働問題について知るべきであるということ。それは自分の専門分野がどうだろうと関係ない。
 また、ワークショップで、大学非常勤講師問題について論点を指摘できなかったことが個人的にはとても残念ではある。まああまり大学のほうにばかり話を持っていくのもどうかといわれるだろうが、だが大学組織は単にその関係者にとってだけの問題ではなく、市民全体にとっての問題であるはず。多額の税金も使われているし、学問の知は社会全体にとって意義のあるもののはずなんだから。
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by anti-phallus | 2010-06-24 15:50 | ユニオンWAN争議 | Comments(3)
Commented by yamtom at 2010-06-25 10:53 x
おきくさん、ワークショップにいらしていただいてありがとうございました。早速エントリ化もしていただき、嬉しく思っています。

参加者の方のご質問の、「あなたが大学で誰かを雇用する立場になったとき、、」というもの、あの方はとくに「大学で」とは言われていなかったのではないかというふうに記憶しています。私はたまたま大学で働いているので、そういう前提で答えてしまったのですが、よくよく考えてみれば、NPOにおいてバイトをお願いする/したときのことをも想定してお答えすればよかった、、と実は後からちょっと後悔もしたご質問だったのでした。私の記憶もひじょうに曖昧なので、後で録音を確認すればはっきりしたところがわかるとは思いますが、とりあえず私は特に「大学」に限定されたご質問だったような気はしませんでした。むしろ、誰でも「雇用」する側に立つことはありうるし、その場合どうすべきなのか、ちょっと視点を変えて考えてみる必要もあるのでは、というご質問だったと私は捉えました。
Commented by anti-phallus at 2010-06-25 13:47
yamtomさん、なるほどそうだったのかもしれませんね。確かに質問された方の主意はそちらのほうだったかも。上で書いたのは、わたしのエントリの趣旨に引きつけた解釈になっちゃってます。。。質問された方、もしそうだったらごめんなさい。 yamtomさんご指摘ありがとうございます!
Commented by t at 2010-06-29 11:39 x
質問をした人です。yamtomさんのご指摘の通りです。質問では文脈設定をせずオープンに聞きました。